経済的安泰を手に入れるには、どれだけの年収があればいいのか。「シリコンバレーの最重要思想家」と呼ばれる起業家のナヴァル・ラヴィカント氏は「収入が増えるとすぐに生活レベルを上げたくなる。しかし金銭欲は底なし沼だ。お金にとりつかれると、いくらお金があっても足りなくなる」という――。

※本稿は、エリック・ジョーゲンソン著、櫻井祐子訳『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

リビングルーム
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小さな積み重ねで「巨大」になる――選択と集中

私はこれまでいろんな不運に見舞われてきた。初めて得た財産は、株価暴落で瞬時に吹っ飛んでしまった。2度目に得た、いや得るべきだった財産は、仕事仲間にだまし取られたようなものだった。やっと成功したのは、3度目のことだよ。

でもこのときでさえ、時間のかかる地道な道のりだった。一攫千金で財産を得たんじゃない。いつも小さなことの積み重ねだった。事業を生み出し、機会を生み出し、投資を生み出しながら、たゆみなく富を生み出していったんだ。一度の大儲けなんかじゃなかった。

私は当たり年の1年で財産を築いたわけじゃない。一度に少しずつかけらを積み重ねていった。選択肢を増やし、事業を増やし、投資を増やし、できることを増やしていった。

インターネットのおかげで、今ではありあまるほどの機会がある。実際、金儲けの方法がありすぎていつも困っているほどだ。

私には時間が足りない。富を生み出す機会は本当にたくさんあって、いつも時間がなくなってしまうんだ。富を生み、プロダクトを生み出し、事業を生み出し、その副産物として見返りを得る方法は、本当に数え切れないほどある。とてもすべてに関わっている暇はない[※1]