「遊び」のように感じられれば最高の仕事
人間は狩猟採集民として進化した。大昔はみんなが自分のために働いていた。序列ができ始めたのは、農耕が始まってからのことだ。そして産業革命と工場が人間社会をとても序列的にした。一人では工場を所有したり建設したりできないからだ。
でもインターネットのおかげで今や時代が逆戻りして、自分のために働く人がどんどん増えている。起業して失敗するほうが、一度も起業に挑戦しないよりずっといい。失敗したって、自分の力で生きていくためのスキルセットが手に入るからだ[※6]。
地球上には約70億の人間がいる。いつか約70億の会社ができることを願っている。
私が金儲けの方法を学んだのは、お金が必要だったからだ。でもお金がもうそれほど必要でなくなると、金儲けのことはどうでもよくなった。少なくとも私にとって、仕事は手段であって目的じゃなかった。
金儲けは手段であって目的じゃなかった。今は金儲けよりも問題を解決することのほうにずっと関心があるね。
どんな最終目的も次の目的を生み、それがまた次の目的を生むだけだ。人生はゲームの連続だ。成長したら学校のゲームをして、社会のゲームをする。それからお金のゲームをして、地位のゲームをする。ゲームにかかる時間はどんどん長くなっていく。
そしてあるとき、どんなゲームもただのゲームでしかないと気づくんだ。少なくとも私はそう思っている。ゲームの本質を見抜いてしまうと、結果はもうどうでもよくなる。
そうなるとゲームに飽きてしまう。私は、このゲームに飽きた段階にいると思う。こういうゲームにはどんな最終目的も意味もあるように思えない。私は人生をただ生きたいように生きている。一瞬一瞬を好きに生きているんだ。
次から次へと快楽を追い求める「トレッドミル」にいるような生き方はしたくない[※3]。
君が本当に欲しいのは、「自由」だ。君もお金の問題から解放されたいだろう? それは当然だ。生活レベルを下げるか十分稼ぐかして、お金の問題を解決できたら、引退すればいい。
といっても、65歳で退職して老人ホームで年金暮らしをするような「引退」じゃないよ。定義が違う。
Qあなたが考える引退の定義は?
引退とは、ありもしない明日のために今日を犠牲にするのをやめることだ。今日がそれ自体で充実していれば、引退していることになる。
Qどうしたらそういう状態になれますか?
1つの方法として、貯えがたっぷりあれば、(指一本動かさずに)不労所得で現金燃焼率(バーンレート)を賄えるね。
2つ目の方法が、燃焼率をゼロにする、つまり出家して僧尼になる方法だ。
3つ目の方法として、君が好きでたまらないことをやる。すると楽しいからお金が目的ではなくなる。
つまり、引退に至る道は1つではないってことだ。
競争のワナから抜け出すには、君らしさを貫いて、君がほかの誰よりもうまくできることを見つければいい。なぜ君が誰よりもうまくそれができるかといえば、それが好きだからだ。
本当に好きなことが見つかったら、君らしさを存分に発揮してそれに取り組もう。そして次に、どうしたらそれを社会が求めるものに近づけられるかを考えるんだ。
レバレッジを効かせて、君の名前をそれに刻みつけよう。リスクを取りながらリターンを得て、所有権とエクイティを手に入れ、そしてどんどんそれを生み出そう[※7]。