直前期の「苦手の深追い」は禁物
12月に入り、いよいよ受験生は入試本番まで2カ月を切った。ここまで親子で必死に頑張ってきたことを思うと、なんとしてでも合格してほしいと誰もが願っていることだろう。だが、実際のところ中学受験はそれほど甘い世界ではない。第一志望校に進学できる子は、受験生全体の約3割にすぎないのが現実だ。しかし、合否の分かれ目は僅差だ。最後は何が決め手になるのか。
直前期の勉強量を増やす? 苦手単元を何度もやらせる?
どちらも不正解だ。
直前期になると「できていないもの」が気になるものだ。応用問題が解けないと「基礎ができていないからだ」と考え、基礎をやらせると新たにできていないところが見つかり、さらに基礎を掘り下げていく親がいる。だが、基礎をやらせようとすればするほどすそ野が広がり、学習量を増やしてしまい、子供に負荷をかける。大量学習は子供を疲弊させ、集中力を奪う。その結果、成績が伸びないだけでなく、自信まで失ってしまうという悪循環に陥ってしまう。この時期の苦手の深追いは禁物だ。
中学入試は4教科の総合点で合否が決まる。その単元が苦手だとしても、他の教科や単元で点が取れればいい。まずは得点を上げやすいところから勉強をさせよう。合格平均点まであと15点足りないのならば、算数であと5点、社会であと5点、理科であと5点といったように、どの教科で何点上げていけば合格平均点に達することができるか、という視点を持って取り組んでみるのだ。そうすると、「算数はあと5点頑張ればいいんだな」と気持ちがラクになる。そうやって、合格のイメージを作っておくのだ。
「親が俯瞰の目を持つこと」が成功の秘訣
中学受験の勉強は、大手進学塾の受験コースがスタートする小学3年の2月から3年間かけて準備をするのが一般的だ。入試本番を目前に控えている受験生の親に、4、5年生の話をしたところで、「もう遅い!」と反論が来るかもしれないが、これから中学受験を予定している家庭には何年後かに迎える“受験直前期”に慌てないために、ぜひとも知っておいてほしいことがある。
ずばり、中学受験を成功させる秘訣は、親が俯瞰の目を持つことだ。多くの親は、中学受験をするのなら、小3の2月から塾に通うのが一般的だということは知っている。ところが、そこから3年間、各学年でどんなことを学び、どんなテストがあり、どんな力が求められるかまでは頭が回っていないことがほとんどだ。ただ、塾にさえ通わせておけば、なんとかなる、またはなんとかしてくれると思っている。そうやって、なんとなく始めた受験勉強は、遅かれ早かれつまずくことになる。