「『中学受験』は特急券」「塾講師は教育者ではなくサービス業」……インパクトの強いセリフが印象的なドラマ『二月の勝者─絶対合格の教室─』(日本テレビ系列)が話題を呼んでいる。中学受験に挑む家庭をリアルかつやさしい目線で原作を描いた漫画家の高瀬志帆さんに作品に込めた思いと、受験生家族へのアドバイスを聞いた――。

※本稿は、『プレジデントFamily2021秋号』の記事の一部を再編集したものです。

『二月の勝者─絶対合格の教室─』(日本テレビ系、土曜夜10時)のHPより
二月の勝者―絶対合格の教室―』(日本テレビ系、土曜夜10時)のHPより
『二月の勝者絶対合格の教室
中堅進学塾「桜花ゼミナール」をおもな舞台として、中学受験に挑戦するさまざまな親子の成長を描いた人気漫画。2017年に『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載が始まり、現在も継続中。コミックスの累計発行部数は160万部以上。柳楽優弥主演による連続ドラマが、10月より日本テレビ系列(土曜夜10時~)で放送開始予定。

中学受験の現場取材をして驚きと興奮の連続だった

Q:中学受験をテーマにしたのはどんな理由からですか?

A:2014年に、ウェブメディアの「日経DUAL」で『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』(原作/小林延江)の連載を依頼されたことが、中学受験に興味を持ったきっかけでした。

私自身は地方の公立中学、公立高校出身なので、それまで中学受験に関してほとんど知識を持っていませんでした。都会に暮らす一部の頭のいいお子さんがするもの、というくらいの認識でした。

ところが塾の関係者や中学受験を体験した方への取材を進めていくうちに、特別な子供、保護者ではなく、いろいろなご家庭が挑戦していて、泣いたり怒ったり喜んだりしながら、親子でがんばっている、ということがわかってきました。勉強そのものを楽しんでいる子、目標に向かってがんばっている子がいて、一生懸命になっている子供と並走して大変な努力で支える親がいる。どの家庭の話もドラマチックで、取材は驚きと興奮の連続でした。

「この世界をさらに深掘りしたらおもしろいかも」と考え、塾や教育専門家の方に取材を重ねて17年に描き始めたのが『二月の勝者―絶対合格の教室―』です。青年誌での連載ということで塾講師を主人公にした「お仕事もの」として描いているのですが、中学受験生や保護者の方にも読んでいただいていると伺って驚いています。

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