いまの子供たちが憧れる「偉人」たちは、どんな子供時代をすごしていたのか。教育プランナーの小川凜一さんは「いま活躍している人を取材すると、欠点やコンプレックスを強みに変えた人が多い。だから、親は欠点や挫折への捉え方を変えるべきだ」という。著書『キラリモンスター ちょっと変わった偉人伝』(大和書房)から一部を紹介しよう――。
Youtube のロゴの iPad 画面
写真=iStock.com/ozgurdonmaz
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「欠点」から生まれたYouTube界の絶対王者

「正解がない時代」と言われています。いま目の当たりにしている世界的なパンデミックでは、「昨日の常識は、今日の非常識」というように、状況が刻一刻と変化しています。このように変化が激しい時代に、親は子どもをどのように育てたらいいのでしょうか。

私はそれを知りたくて、いまの時代に活躍している15人の“偉人”を取材し、『キラリモンスター ちょっと変わった偉人伝』(大和書房)にまとめました。YouTubeクリエイターのHIKAKINさんや「かいけつゾロリ」シリーズの作者である原ゆたかさん、お笑い芸人の渡辺直美さん、連続起業家の家入一真さんなど、子どもにとっても憧れのロールモデルといえる方たち。その人たちを取材すると、ある共通点を見つけました。

それは、今成功を作り出した力も、子どもの時はネガティブに捉えられていたということです。

HIKAKINさんは、子どもの時からチームプレーが苦手という欠点があったと話します。なんでも自分が納得できるまでやらないと次に進めず、周りに歩調を合わせられない子どもでした。

親からすると「周りとちゃんと協力しなさい」「協調性がないと社会で通用しないよ」などと言ってしまいそうなところです。しかし、HIKAKINさんは「小さい時から、親に否定や反対をされたことは一つもなかった」と振り返ります。

HIKAKINさん
HIKAKINさん(写真提供=©UUUM)

そして、日本人として初めてYouTubeクリエイターという仕事を確立します。企画・撮影・編集を自分たちで行うこの仕事は、納得できるまで行いたいHIKAKINさんにとってはまさに天職。一見“ノリ”で作っているように見える動画も、人気動画の共通点を徹底的に洗い出し、一挙一動に至るまで計算し尽くされています。

デビューから10年、求道者とも言えるほどの執念で、投稿とデータの分析を続けているからこそ、パイオニアであり、絶対王者であり続けているのです。

もし子どもの時、「こだわらずに協調性を持ちなさい」と親から“欠点”を矯正されていたら、この成功はなかったかもしれません。カリスマ教師の井本陽久さんもやろうとしたことを親から否定されることはほとんどなかったと話します。