放映も残すところ数週間となったNHK朝ドラ「おむすび」の平均視聴率が過去最低の「ウェルかめ」(2009年度後期)を下回る可能性が出てきた。次世代メディア研究所代表の鈴木祐司さんは「ヒロインを務めた橋本環奈さんは“1000年に1人”と評される逸材だったが、数字上、その株価は暴落してしまった」という――。
『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 おむすび Part1』(NHK出版)
画像=プレスリリースより

橋本環奈がヒロインの朝ドラ「おむすび」の放送が残り1カ月を切った。

そのストーリーにはスタート直後からネガティブな反応が多かったが、その後も視聴者の脱落が続いた。そして最近の世帯視聴率は13%を下回り、これまでの最低だった2009年度後期の「ウェルかめ」(主演:倉科カナ)の13.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を下回る情勢だ。

“1000年に1人の逸材”と注目を集め、その後、トップ女優の階段を駆け上がったハシカンの株価暴落の要因を考えた。

橋本環奈の株価暴落

株価暴落ぶりを露呈してしまったのは、朝ドラ直後の生放送番組「あさイチ」内の人気コーナー「プレミアムトーク」での登場シーンだった。芸能人らの番組での裏話や素顔を知ることができるこのコーナーにはこれまでの朝ドラの主人公もしばしば出演しており、ハシカンも2月21日の放送で出演した。

【図表】朝ドラ後の「あさイチ」序盤の視聴率推移
出典=TVS REGZA「視聴データ分析サービス」

その際の数字がひどかった。グラフで一目瞭然、そもそも朝ドラ部分の数字が低い。しかし問題は、冒頭で顔のドアップで登場した直後。直近3作の主人公たちと比べても、急落ぶりが顕著なのである。

例えば24年度上期の伊藤沙莉(「虎に翼」)は、冒頭1分で0.5%ほど下落した。23年度下期の趣里(「ブギウギ」)は0.4%台。そして23年度上期の神木隆之介(「らんまん」)も0.5%台だった。

朝のこの時間は、朝ドラを見てから、外出するか家事を始める視聴者が多い。そのため、「あさイチ」開始で数字が落ちるのはしかたないが、朝ドラの出演者がそのまま生放送に登場する「プレミアムトーク」があるとなると、予定を変更してテレビを見続ける人が多い。過去3作の主人公たちもそのパターンだった。

ところがハシカンは、1分で0.7%以上を失った。さらに5分で1%以上、10分で1.4%ほどと急落ぶりは尋常ではなかった。視聴率における0.1%はとてつもない大きな意味を持つ。コーナー内では、MCの博多華丸・大吉の2人を相手にドラマの舞台裏や俳優としての仕事ぶりなどのトークが展開したが、見続けたいと思った視聴者は多くはなかった。