下落率の意味
その後のプレミアムトークの視聴率の動向を、(番組開始時からの)下落率でみると状況がより明確になる。
伊藤沙莉と趣里は、冒頭4分間で粘りに粘った。用事のある人々が、後ろ髪を引かれる思いでその後テレビから離れている様子が想像される。
ところが橋本環奈の場合は、冒頭4分で2割の視聴者が逃げた。その後も離脱は同じペースで続き、結局15分で3割に逃げられている。
過去には素晴らしい記録も残っている。「カムカムエヴリバディ」の初代ヒロインを演じた上白石萌音の時は、視聴率の下落率が小さく、多くの視聴者をテレビにくぎ付けにした。
実は橋本環奈も、2022年1月7日に同コーナーに初登場した際は、上白石萌音に負けず劣らず好記録だった。当時、ふたりは大ヒットアニメの舞台化「千と千尋の神隠し」に共に挑戦している時でもあった。高校生が選ぶ「今いちばん好きな女優ランキング」でハシカンが1位だったことも大きい。
3年経過した今回は惨敗で、まさに隔世の感がある。
序盤の躓き
要因はいろいろあるだろう。ネット記事の中には、「パワハラ疑惑報道(※)が致命傷」などの解説もある。ただし真偽のほどが定かでないので、ここではエビデンスに基づいて議論したい。
※2024年10月31日に発売された『週刊文春』の11月7日号に、収録現場でマネジャーに対して「使えねぇ」などと暴言を吐くなどのパワハラ疑惑が掲載、これまでに多くのマネジャーが退職したと報じられた。
「おむすび」の視聴率は、文春のパワハラ報道が出る前に急落している。そして報道後は、しばらくはやや挽回した。つまり視聴者はスキャンダル報道より、純粋にドラマの面白さで“見る・見ない”を決めているようだ。
筆者はその第1週が終わった時点でプレジデントオンラインにて〈朝ドラ史上まれにみる「第1週で脱落」現象…橋本環奈の「おむすび」が「これから面白くなる気がしない」辛辣理由〉という記事を配信した。初回こそ視聴率は高かったが、第1週後半で早くも失速してしまったからだ。日本初の女性弁護士・判事として昭和を生きた女性の物語「虎に翼」の後が、平成ギャルの“自分探し”物語となったため、中高年の多くが興味を失ったのである。
「虎に翼」は、これまでにない朝ドラとして新たな視聴者を獲得した。ところが普通の人の普通のお話から入った「おむすび」は、新規顧客を早々に失っただけでなく、朝ドラの鉄板ファンにも逃げられた。これが序盤4週で週平均視聴率を3%超失った要因だった。


