1000年に1人の逸材と言われる橋本環奈主演の朝ドラ「おむすび」が早くも苦戦している。「第1週で脱落」層が少なくなく、視聴者離れが起きている。次世代メディア研究所代表の鈴木祐司さんは「前作の『虎に翼』は日本初の女性弁護士・判事として昭和を生きた女性の物語でしたが、今回は平成のギャルを描く物語。コアな視聴者の中高年にはいまひとつだったよう。2週目以降の挽回を期待したい」という――。
伊藤沙莉主演「虎に翼」の後を受け、橋本環奈「おむすび」の第1週が放送された。
ネット上では後者の初回が前者を上回ったことが大きく取り上げられたが、「おむすび」は第1週後半で失速、「虎に翼」第1週平均と比べると1割近く下がってしまった。
直前の「虎に翼」最終週からも下がっている。
つまり視聴者離れが起き始めているのだが、SNSでも「おもんない」「新鮮味に欠ける」「今週で脱落」など批判の声が多い。女優人気トップクラスの橋本環奈を起用しながら、なぜ「おむすび」は第1週で躓いたのか。視聴データやSNS上の声から考えてみた。
若年層は「おむすび」だが…
まず「おむすび」の視聴率を、「虎に翼」と比べてみよう。
第1週の個人視聴率平均は、6.8%対7.4%。
1割近くの下落となったが、直前週(「虎に翼」最終週)からも0.4%以上数字を落とした。要は朝ドラからの視聴者脱落が起こっている(スイッチメディア「TVAL」データ)。
では誰が見るのをやめたのか。
実は若年層は「おむすび」に軍配を上げている。1層(男女20~34歳)では1割以上も上回った。特に「虎に翼」最終週からは2割以上も数字を押し上げた。またコア層(男女13~49歳)やZ世代(男女十代後半から二十代後半)でも上を行った。
“1000年に1人の逸材”として注目を集め、その後トップ女優に上り詰めたハシカン人気は、NHKの朝ドラでも健在だったようだ。
ところが年齢が上がると事情が異なる。
2層(男女35~49歳)では互角、3層(男女50~64歳)でやや後れをとり、4層(男女65歳以上)で1~2%ほど逆転されていた。
日本初の女性弁護士・判事として昭和を生きた女性の物語に対する平成のギャルを描く物語は、中高年にはいまひとつだったようだ。