2023年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。芸能部門の第2位は――。(初公開日:2023年9月30日)
1961年の開局以来、NHKで放送されている朝の連続テレビ小説、通称「朝ドラ」。平成から令和にかけて放送された「朝ドラ」の中で、最も評価されるべき作品はどれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが選んだ「NHK朝ドラ」ベスト5とは――。
独断と偏見に満ちた20項目でベスト5を選出
極端に好みが分かれる朝ドラ。ここ十数年、ある1作を「ぶっちぎりのベスト」と思っていたが、改めて観直すと意外な伏兵がいたと気付く。もう一度、確認しておこうと思った。
今回は2段階でセレクト。日々つけているドラマ視聴ノートでメモをとった箇所が多い作品をピックアップ。さらに、20項目(5点満点)を設けて、点数を合計してみた(表参照)。え、そんなとこ? と思うだろうよ。ええ、独断と偏見に満ちた項目で合計点が高かったベスト5をお届けします。
「新奇性」ではベスト作品
5位 朝ドラの定番を踏まえつつも新風を吹き込んだ
とにかく笑える「あまちゃん」(2013年) 51点
最も軽妙でやみつきになる明るさの異色作。地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないヒロイン・天野あき(能年玲奈)がアイドルを目指す物語。
ダメな大人も厄介な大人も多数、脇を彩る役者陣のほぼ全員に、個性や人となりを表す見せ場があるのも凄いし、女の連帯も秀逸だ。祖母(宮本信子)と母(小泉今日子)含めた天野家3世代の物語は、朝ドラの定番を踏まえつつも、家族の距離感をアップデートした描き方だった。不運が重なる友人・足立ユイ(橋本愛)との友情も山あり谷あり嫉妬あり。嘘臭さを打破した関係にリアリティがあった。
合計点は低いが、特筆すべき点が2つ。戦禍などの歴史的悲劇はないが、東日本大震災をどう描くかが注目され、宮藤官九郎の配慮ある手腕が高評価だったこと。口パク・バーター・出来レースなど、今もなおはびこる芸能界の因習を軽妙かつ辛辣に、しかも朝ドラで描いた点も評価したい。「新奇性」で言えばベスト1だ。