「子どもがゲームをやりすぎる」と悩む親は多い。しかし東京大学大学院情報学環の藤本徹准教授は「ゲームが勉強の邪魔になると決めつけないほうがいい。子どもはゲームを入り口にさまざまな能力を身に付ける。活かし方によっては勉強にもプラスになる」という。それでは東大生はゲームとどう付き合ってきたのか。現役ゲーマー東大生4人に聞いた――。(聞き手・構成=加藤紀子)(前編/全2回)
親が決めた時間制限を守れる子はいない
――親が一番困っているのは、子どもがゲームをやりすぎることです。「1日1時間まで」といったルールを設けても守られず、親子げんかになるケースが後を絶ちません。皆さんはどうでしたか?
【教養学部2年生 中村介さん(以下、中村)】僕も小学生時代は1日1時間というルールを設けられていたのですが、楽しいので守れるはずもなく……。母の様子をうかがって、あとどれくらいできるのかなって考えながら、ルールを破っていく毎日でした。
【修士課程1年生 小山このかさん(以下、小山)】私も小学生の頃はディズニーゲームズっていうオンラインゲームのレベルアップに夢中で、親が決めた「夜8時まで」って約束が守れませんでした。けんかになりパソコンを取り上げられたことがあります。私はそれが不服で、勉強を一切しないというストライキをしていました。
【修士課程2年生 高友康さん(以下、高)】僕もまったく約束を守らないので、怒った母はゲーム機を分解して隠したりしていました(苦笑)。コンセントアダプターはトイレの上の棚、本体は洋服ダンスの中とか、バラバラにされて。
だけど、だいたい同じ場所に隠すから、こっちもわかってきてしまって。探し出すのもゲームみたいで楽しかったです。全部見つけ出してまたやるという繰り返しでした。
――東大生の皆さんも約束を守れずに、親御さんを困らせていたんですね。
【高】ゲームをやっている時は集中しているので、時間を意識できないです。
そもそも夢中になれるものに夢中になっていて何が悪いのかって思っていました。「目が悪くなる」って言われても、メガネかければいいし、「頭悪くなる」って言うのも、雰囲気だけで言っているように感じて。親の理屈には説得力を感じなかったです。