「総裁選挙は粛々と進めてもらいたい」

自民党の総裁選が「9月17日(金)公示、29日(水)投開票」と決まった。事実上、日本の首相を決める選挙となるだけに自民党はしっかりと選挙運営を進めてほしい。

対立候補の当選確実の連絡が入り、支援者らに頭を下げる小此木八郎氏=2021年8月22日、横浜市
対立候補の当選確実の連絡が入り、支援者らに頭を下げる小此木八郎氏=2021年8月22日、横浜市(写真=時事通信フォト)

前回の総裁選(昨年9月14日投開票)は、安倍晋三総裁(当時)の任期途中での辞任によるもので、緊急性があった。しかし、今回は任期満了にともなう総選挙で、国会議員だけでなく全国一斉の党員・党友による投票も実施され、党幹部の思惑通りになるとは限らない。

8月25日、自民党総裁として再選に強い意欲を示す菅義偉首相(72)は、党本部で二階俊博幹事長らと会談し「総裁選挙は粛々と進めてもらいたい」と伝えたという。

昨年の総裁選挙に立候補した岸田文雄・前政務調査会長(64)は26日に立候補を正式表明した。高市早苗・前総務相(60)と下村博文・政務調査会長(67)も出馬を明らかにしている。

不支持が支持を大きく上回り、政権維持の危険水域に

それにしても新型コロナ対策の効果が上がらず、国民の批判が集中する菅政権の支持率は下降線をたどる一方である。東京五輪閉幕を受けた報道機関各社の世論調査を見ても、不支持が支持を大きく上回り、政権が維持できる危険水域にある。

菅政権の不支持、菅首相の不人気が大きく証明されたのが、8月22日に投開票された横浜市長選だ。横浜市は菅首相が強い影響力を持つおひざもとだ。全面的に支援した前国家公安委員長の小此木八郎氏(56)は、立憲民主党推薦の元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)に大差で惨敗した。またもやの自民党の敗北である。

菅義偉政権が昨年9月に発足して以来、自民党は4月25日の衆参3選挙(衆院北海道2区補欠選挙、参院長野選挙区補欠選挙、参院広島選挙区再選挙)や山形、千葉、静岡の3知事選挙など与野党が対決した大型選挙でことごとく負けている。7月4日の東京都議選でも自民党の当選者は過去2番目に少なく、事実上の敗北に終わった。