「この程度のボーナスしか出せないのなら将来も危ない」

テレワーク勤務はコミュニケーションなど丁寧なフォローを怠ると社員の心は会社から離れていく。パソナ総合研究所の「コロナ後の働き方に関する調査」(12月1日発表)によると、在宅勤務を行った結果、「仕事以外の生活の重要性をより意識するようになった」と回答した人が46.1%と約半数に上る。

その理由で最も多かったのは「家事や家族とのコミュニケーションに使う時間が増加したため」(61.2%)だったが、一方で「会社の同僚などと接する時間が減ったため」と回答した人が27.0%、「会社への帰属意識が低下したため」と回答した人が19.9%もいた。

家族とのコミュニケーションが増えることは結構なことだが、これらと連関して会社への帰属意識が薄れていくのはある意味で自然なのかもしれない。

辞表を持つビジネスマン
写真=iStock.com/bee32
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そしてその結果として「今回の在宅勤務をきっかけに、職業選択や副業などへの希望は変わりましたか」という質問に対して「近い将来の転職を検討し始めた」人が16.6%、「希望する職務や就業先が変化した」人が9.5%もいる。転職を検討し始めた人は20代が30%を超えている。

年末から来年初頭にかけて優秀人材の流出が起きるかもしれない

また両者(「転職検討」「希望職務・就職先に変化」)に希望する職務や転職についての考え方が変わった理由を尋ねると「在宅勤務を機にワークライフバランスを変えたくなった」が最も多く42.9%、次いで「在宅勤務を機に現在の職務や会社の将来に疑問が生まれた」が29.0%となっている。

在宅勤務をきっかけにキャリアに対する考え方が変化し、スキルアップを含めて転職を意識するようになる。さらにコロナ禍の業界や会社の状態を見て、将来に不安を感じてますます離職を意識するようになる。

その決意にとどめを刺すのが冬のボーナスだ。「この程度の金額しか出せないのなら将来も危ない」と、見切りをつける社員が増えてもおかしくはない。

とはいえ、不況下で売り手市場から買い手市場に変化し、以前ほど転職も容易でなくなってきているのも事実だ。加えて、今回の不況は不調業種・企業とそうでない業種・企業の二極化が起きているのも一つの特徴だ。

好調企業の採用意欲は旺盛であり、優秀な人材を求めている。今年の年末から来年初頭にかけて優秀人材の流出が起きるかもしれない。

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