コロナ禍で自社の将来性に疑問を持ち、在宅勤務で帰属意識が薄れた

とくに今はコロナ不況によって「3密業種」を中心にビジネスの危機に直面し、多くの業界や会社がビジネスモデルの変容を迫られている。

同じ飲食業界でも都心型店舗主流か郊外型店舗か、3密対策の無人化・省力化戦略で業績の明暗が大きく分かれ始めている。

働き方に関しても緊急事態宣言解除以降、テレワークやオンライン化が進む一方で、そうしたシステム投資をしないでいまだに出社を強制し、対面にこだわる「昭和的経営者」も少なくない。

実際にコロナ禍で業界や会社に見切りをつける人も増えている。エン・ジャパンの「ミドル世代の『転職意向』実態調査」(7月17日発表)によると、新型コロナウイルスの流行によって「転職意向が強まった」と回答した人が39%もおり、逆に弱まった人は9%にすぎない。

転職意向が強まった人のコメントでは、

「緊急事態下の状況にあっても事業が持続可能な企業とそうでない企業が選別されたように思われ、前者への転職希望がより高まった」
「時間をかけて通勤すること自体に疑問を持つようになったため」

といった声が挙がっている。

興味深いのは、転職意向が弱まったと回答した人のコメントに「現状、給与やボーナスに新型コロナの影響がまったくないことがわかったため」というのもある。

これは逆に言えばボーナスがカットされた場合は転職を選択する可能性があるということだろう。

在宅勤務で「会社は自分に期待していないのではないか」と疑心暗鬼に

同調査で「転職を考えている」と回答した人の理由では「仕事の幅を広げたい」(35%)に次いで「会社の将来性に不安を感じるから」(33%)を挙げている。

在宅勤務などテレワークの働き方は、通勤時間がない分、自由な時間が増え、おおむね社員にも好評だ。

しかし、先ほど述べた離職者増加の要因の②のように、上司に対する信頼感や会社への帰属意識が失われると、離職を促す副作用もある。

実際、コロナ前だが、こんな実例があった。

ある企業で営業職を中心に数カ月間のテレワークをトライアルで実施した。ところが上司や同僚とのコミュニケーションが減り「会社は自分に期待していないのではないか」と疑心暗鬼に陥り、20代社員の3分の1が会社を辞めたというのだ。