現場重視の姿勢で再建の熱意を伝達

「カネボウからセーレンへの移管が決まってからの数カ月、経営トップが現場、現物をよく見ていなかったのは申し訳なかった」

<strong>「かけ声では意識は変わらず、自主性にまかせることが大切」</strong><br>言葉だけでなく、さまざまなチャネルを通して社員とのコミュニケーションをとるセーレンの川田達男社長。
「かけ声では意識は変わらず、自主性にまかせることが大切」
言葉だけでなく、さまざまなチャネルを通して社員とのコミュニケーションをとるセーレンの川田達男社長。

セーレンの川田達男社長はKBセーレンの社員への初めての挨拶をこう切り出した。すると旧カネボウ社員の間に、「これはお詫びや!」という声にならぬどよめきが広がった。「赤字なので叱責を覚悟していたのに、意外だった」と琵琶湖畔に立つ長浜工場の社員は語った。

長浜工場はかつて「東洋一の綿布工場」と呼ばれたカネボウの天然繊維事業の拠点であった。しかし、カネボウの繊維事業は1980年代に始まる繊維産業の海外大競争時代に抗しきれず、赤字を垂れ流し、産業再生機構の支援を受けた後も41億円の赤字(2005年3月期)を抱えていた。再生機構の再建計画では最下位の「早期に売却・清算」すべき「第四分類」にランクされた。つまり、再生不能の烙印を押されたに等しかった。