始発から終電まで走り続ける鉄道を管理する駅員は不規則な業務が多い。そのため東京メトロでは昨年10月まで、駅の炊事場で食事を作っていた。炊事場が廃止された駅員たちは、どうやって食事を調達しているのか。鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏が取材した——。
サラダからカレーライスまですべてを100円で販売
早朝から深夜まで動き続ける鉄道。基本的には駅員は朝に出勤し、泊まりがけで仕事をして、翌日の朝に退勤する交代制の24時間勤務で働いており、その間の3食の食事やシャワー、仮眠を駅の中で済ませている。駅員にとって駅舎とは仕事の場であると同時に、生活の場でもあるのだ。
そんな中、東京メトロは昨年10月、駅や乗務員の控室など約200の事業所に、置き型社食サービス「オフィスおかん」を導入した。
導入した背景を探る前に、まずは置き型社食サービスとはどのようなものなのか説明が必要だろう。2014年3月にスタートした「オフィスおかん」は、開始から6年で全国2000社以上の企業が導入している。
「オフィスおかん」は契約企業の職場に専用の自動販売機や冷蔵庫を設置。白米や玄米などの主食、肉や魚などの主菜、煮物やサラダなどの副菜の他、カレーライスやスープなどを個包装したパックを全品100円で販売する。従業員は好きなものを組み合わせて購入し、電子レンジで温めて食べるだけ。「オフィスグリコ」など置き型菓子販売サービスなどがあるが、その食事版だと思えばイメージしやすいだろうか。
なぜ東京メトロは、自動販売機型の社食サービスを始めたのだろうか。