新型コロナウイルスの影響で、赤字路線を多数抱えるJR北海道の経営状況が深刻さを増している。2020年3月期決算では、経常損益が過去最大の赤字となった。国費を投入しても再建できない同社は赤字路線を切り捨てるべきなのか。鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏が解説する――。
運行を終えるJR北海道・札沼線の最終列車=2020年4月17日、北海道新十津川町
写真=時事通信フォト
運行を終えるJR北海道・札沼線の最終列車=2020年4月17日、北海道新十津川町

緊急事態宣言が解除されても再建は厳しい

東京を含む首都圏4都県と北海道を対象とした緊急事態宣言が25日に解除された。4月7日の宣言からおよそ1カ月半での全面解除となる。北海道と神奈川は、終了の目安の一つである「直近1週間の新規感染者数が10万人あたり0.5人程度以下」を満たしていないが、今後は感染拡大に注意を払いつつ、経済活動の復活が待たれる。

しかし、経営再建に向けて第一歩を踏み出した矢先に新型コロナウイルスの猛威が襲ったJR北海道にとって、解除後の道のりはいっそう険しいものとなりそうだ。

JR北海道が4月28日に発表した2020年3月期決算は、2月~3月のコロナウイルス感染拡大の影響により、連結営業収益が対前年比37億円減の1672億円、連結営業損失は同7億円増の426億円、連結経常損益が同24億円増の135億円となり、過去最大の赤字を記録した。

2010年代から相次いだ事故や不祥事の影響で経営危機に陥ったJR北海道は2019年4月、北海道新幹線が札幌まで延伸開業する予定の2030年度までの長期経営ビジョンと、2023年度までの中期経営計画を策定。その上で、2019年と2020年の2年間を集中改革期間と位置づけ、2031年度の経営自立を目標とする経営再建計画に着手した。国はこの2年間の成果を見て、2021年度以降の補助金の支出を判断するとしており、経営再建に向けての正念場となるはずだった。