死を前に人は何を思うのか。米国の写真家アンドルー・ジョージ氏は、終末ケアを受ける20人に話を聞いた。インタビュー写真集『「その日」の前に Right,before I die』から、10年間ヘロイン常習者だったという男性のエピソードを紹介しよう――。
※本稿は、アンドルー・ジョージ著、鈴木晶訳『「その日」の前に Right,before I die』(ONDORI‐BOOKS)の一部を再編集したものです。
自殺するために、銃と遺書を用意していた
Michael(マイケル)
おれは満足し、平和で、落ち着いている。
おれは胸をはって、何も身につけず、この地上から出て行き、昔やってきたのと同じ道を行くんだ。
おれは満足し、平和で、落ち着いている。
おれは胸をはって、何も身につけず、この地上から出て行き、昔やってきたのと同じ道を行くんだ。
おれは10年間、ヘロイン常習者で、毎日4、5回は打っていた。
夢をみているような、気が触れているような生活だった。
三度、結婚した。請求書の支払いもできず、友人たちには見放され、
自殺するしかないと思った。銃は持っていた。遺書も書いた。
家族が帰ってきたら、死んでいるおれとその手紙を発見したことだろう。