これまで日本での「孤独死」は男性の問題だった。だが法医解剖医の西尾元氏は「生涯未婚率が上がり、今後、女性の独居者は間違いなく増える。男性によく見られた死に方をする女性が、これから増えていくのではないか」と推測する――。
※本稿は、西尾元『女性の死に方』(双葉社)の一部を再編集したものです。
男性は仕事を辞めた定年後、孤独に陥るケースが多い。人間関係が職場にしかなく、働かなくなった途端に家族以外、他者や社会との関係が断たれてしまう。さらに独居者になれば、近所付き合いも挨拶程度で気にかけてくれる人もいない。アパートの一室で寂しさにさいなまれ、それを紛らわせるための酒におぼれていく……孤独死がもっとも増える60代の男性の、そんな現実をデータは示している(今後は定年延長など働く期間が延びることで、変化が出てくる可能性はある)。
女性と男性で孤独死しやすい年齢は違う
東京都監察医務院が発表した「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(平成30年)」からは、非常に興味深い日本社会の実像が見えてくる。東京都23区に絞った、自宅で亡くなった孤独死数を見ると、男性は45歳あたりから孤独死する人が増加し、60代で急激に増えるが、70歳以降、一気に減少していく。対して女性は、65歳以降ペースを上げて増加し続けている。