女性の孤独死は80代で男性より増える

一方、女性の場合、孤独死数は男性よりも圧倒的に少ない。65歳時点で見れば、その数は6分の1以下だ。ただ、60代から徐々に孤独死数が増え、80~84歳を境に男性の数を超える。女性はひとり暮らしをしていても、近所の人と付き合いがあったり家を行き来する友人がいたりと、男性よりもコミュニケーション能力に長けていることが多い。80代以降の孤独死数の増加は、自身の健康の問題や友人の減少などでこうした交友関係が途絶えるためかもしれない。

今、私が気がかりなのは、働く女性が増えたことで孤独死における“女性の男性化現象”が起きないか、という点だ。女性の生涯未婚率の増加、経済問題などの時代背景を考えると、これからは女性も生涯を通じて働くことが普通になっていく。総務省が発表した「労働力調査」によれば、2018年、15~64歳女性の「就業率」は過去最高の69.6%に達し、この6年の間に女性全体の就業者数は300万人弱も増えた。

「ひとり暮らし」が悪いわけではない

そうなると、これまで「働く独居男性」の問題としてとらえられていた「所属コミュニティの消失」問題が、今後は女性に起こらないとも限らないのではないだろうか。

誤解してほしくないのだが、私はひとり暮らしを悪いことだとはまったく思っていない。むしろ、その気ままさをうらやましくも思う。ひとりのほうが、誰かと暮らすよりも自由でよいという方もおられるだろう。それは個人の選択の自由であり、他人がとやかく言うことではない。私がここでひとり暮らしをテーマとして取り上げた目的は、あくまでリスクについて言及するためである。