統合後の難局を切り抜けられるか

「強い者がどんどん強くなり差が開く」

2019年11月、ヤフーを展開するZホールディングス(ZHD)との経営統合の発表会見で、LINEの出澤剛社長CEOは危機感をあらわにした。念頭にあったのは、時価総額や売上高で両社を上回るグーグルやアマゾン・ドット・コムといった海外の巨大IT企業だ。

LINEとZHDは2020年10月までに統合し国内最大のネット企業が誕生する。「人材、資金、データのすべてが勝者総取りのビジネス構造になっており、グローバルテックジャイアントへの危機感がある」。出澤氏は決断の背景をこう説明する。

LINE 社長 CEO 出澤 剛氏(時事通信フォト=写真)

ライブドアの前身であるオン・ザ・エッヂに入社したのは02年。06年に堀江貴文氏が逮捕されるライブドア事件が起きたが、同社にそのまま踏みとどまる。モバイル事業に携わっていた出澤氏は07年、火中の栗を拾う形でライブドア社長に。社内の混乱を収め黒字化に成功。

その後10年にライブドアは韓国NHN日本法人(現LINE)に買収された。LINEは韓国系とみられることが多いが、実はライブドアの遺伝子を出澤氏とともに引き継いでいる。

ZHDとの統合をいかにうまく機能させるかが今後の課題だ。新会社の規模と、電子決済や金融といった幅広い業態の強みを生かして海外の巨大IT企業と伍していけるか。膨大なデータの活用がカギを握るが、プライバシー保護の観点から世界的に規制が強化される流れもある。今回も難局を切り抜けられるか。出澤氏の手腕に注目が集まる。

出澤 剛(いでざわ・たけし)
LINE 社長 CEO
1973年生まれ。96年早大政経卒。オン・ザ・エッヂ、ライブドア社長、NHNジャパン(現LINE)取締役を経て15年4月より現職。
(写真=時事通信フォト)
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