習氏は「戦略的互恵関係」をどう理解しているのか

「日中両政府は習近平国家主席の国賓としての来春訪日で合意している。反対論もある中、実現させるなら、首脳同士が信頼を深め、先送りしてきた懸案について率直に意見交換することが大切だ」

こう書き出すのは、12月23日付の東京新聞の社説である。朝日社説と同じく、習氏の国賓訪問を取り上げている。見出しも「習主席の訪日 信頼深め懸案も率直に」である。

東京社説は解説する。

「六月の会談では、習氏が来春にも国賓として初めて訪日することで合意した。江沢民元国家主席は一九九八年に、胡錦濤前国家主席は〇八年に、それぞれ国賓として訪日している」
「江氏訪日の際に日中は『日中共同宣言』で友好協力を、胡氏訪日の際には『日中共同声明』で戦略的互恵関係の推進をうたった」

この「戦略的互恵関係」は第1次安倍内閣の際、安倍首相が胡氏と合意したものだ。相互に理解を深め。お互いに脅威とならず、平和的発展を支持し合うというものだった。

しかし中国は尖閣だけではなく、南沙諸島などの浅瀬で軍用基地に転嫁可能な人工島を次々と築き、東アジアの国々に脅威を与えている。習氏は戦略的互恵関係をどう理解しているのだろうか。

北朝鮮を認める習氏の腹は「真っ黒」ではないか

「日中間には、これら二つの文書に先立ち、七二年の国交正常化の際の『日中共同声明』、七八年の『日中平和友好条約』がある」
「これら『四つの重要な政治文書』に共通する精神は『日中不戦の誓い』と言えよう。習氏の国賓としての訪日の際には『五つ目の政治文書』を出す方向で、日中政府の調整が進んでいるともいう」
「新たな政治文書を作るなら『不戦の精神』をきちんと踏まえ、歴史、領土問題など懸案の解決に糸口を見いだすべく、前向きなものにしてほしい」

「習氏の国賓としての訪日は今のところ、関係改善を印象づけるムード優先の面は否定できない」

沙鴎一歩も「不戦の精神」「解決の糸口」には大賛成である。だが、問題は中国の腹黒さである。

たとえば今回の会談で、安倍首相と習近平国会主席は北朝鮮について国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議の完全な履行を求めることを確認し合ったが、習氏や習政権はどこまで本気なのか分からない。事実、習氏は今後の制裁緩和を求め、北朝鮮の肩を持つ。

北朝鮮はアメリカとの核・ミサイル開発中止交渉の期限を勝手に年末と決め、挑発行為を続けている。そんな北朝鮮を認める習氏の腹は、真っ黒ではないだろうか。

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