「絶対権力」を求める政治家が世界中で増えている

世界が巨大な怪獣に飲み込まれようとしている。一体、この怪獣の正体は何なのだろうか。

脳裏をよぎるのが、「リヴァイアサン」である。17世紀のイギリスの哲学者トマス・ホッブズは、自然状態による市民同士の戦争を避けるため、市民は絶対権力に服従すべきだと説いた。そのとき絶対権力をもつ国家のことを、ホッブズは旧約聖書に登場する海の怪獣にちなみ「リヴァイアサン」と呼んだ。

最近、民主主義の国々にこの絶対権力を志向する政治家が増えている。代表格は、アメリカのドナルド・トランプ大統領である。トランプ氏にへつらう日本の安倍晋三首相や韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も同類項だ。

写真=EPA/時事通信フォト
ロンドンで勝利宣言する英保守党のジョンソン首相=2019年12月13日、イギリス・ロンドン

かたくなにEU離脱を主張し、今回、議会解散後の総選挙で圧勝したイギリスのボリス・ジョンソン首相も、トランプ氏に引けを取らない、絶対権力を求める凄まじい政治家である。

中国の習近平(シー・チンピン)国会主席や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長も絶対権力を志向している。しかし、彼らの国は体制そのものが独裁であり、私たちの民主主義国家とは大きく違う。