日韓のいまの最悪の関係を生んだ「きっかけ」

12月16日、日本の対韓輸出の管理厳格化について話し合う日韓両政府の局長級の政策対話が東京都内で開かれた。

局長級の政策対話は2016年6月以来3年半ぶりである。日本は韓国の対応状況を確認し、韓国は管理体制の改善策を説明した。日本と韓国は今後も、会議を続けることで合意し、次回はソウルで開催する。

写真=時事通信フォト
輸出管理をめぐる政策対話を前に握手する経済産業省の飯田陽一貿易管理部長(右)と韓国の産業通商資源省の李浩鉉貿易政策官=2019年12月16日、経済産業省[代表撮影]

ここで沙鴎一歩は言いたい。日韓関係を改善するには局長級の政策対話だけでは無理がある。日韓のいまの最悪の関係を生むきっかけとなった徴用工の問題を解決しない限り、日韓関係は元には戻らない。

もっと言えば、日本が韓国人の中に存在する日本を敵視する感情、いわゆる「反日種族主義」を十分理解し、日韓の交流を深めていく必要がある。これこそが今後の日韓関係を改善する最大の鍵である。

韓国メディアは「経済戦争」と大きく報じていた

これまでの経緯を簡単に振り返っておこう。

日本は7月4日から半導体の製造に欠かせない化学製品3品目の輸出を大幅に制限した。包括的許可から個別許可に変える規制であり、半導体材料の実質上の輸入禁止措置だった。

半導体の製造は、韓国にとって主力産業で主力輸出品だ。その半導体材料の輸入に規制が掛けられ、韓国の経済的打撃は大きかった。

さらに8月は、輸出手続きの簡略化を中止した。韓国を安全保障上問題ない国(ホワイト国)のリストから外し、前述の3品目以外でも軍事利用できる製品と技術の輸出に厳しく許可を求め、輸出上の優遇措置を取らないように変えた。これも韓国にとって痛手だった。韓国メディアは「経済戦争だ」と大きく報じ出した。