「互いの発表を否定するこれまでの泥仕合は避けられた」

さていつものように新聞の社説を見てみよう。

毎日新聞の12月18日付の社説は、「輸出規制で日韓対話 信頼回復へ課題の克服を」との見出しを付けてこう書き始める。

「日本の対韓輸出規制をめぐって、両国政府の担当者が対話した。意見交換は10時間にわたった。この機運を生かして、本格的な関係改善につなげてほしい」

沙鴎一歩も本当の意味での関係改善を望む。毎日社説は書く。

「韓国側は、半導体材料3品目の輸出規制強化や、輸出手続きを優遇する『グループA(ホワイト国)』からの除外措置を撤回するよう改めて求めた」
「日本は韓国の輸出管理体制が不十分だと指摘している。このため、韓国側は人員の増強計画などについても説明したとみられる」
「双方は『相互理解が進んだ』と評価した。対話の継続で合意し、対外的な公表内容も事前にすり合わせた。終了後に互いの発表を否定するこれまでの泥仕合は避けられた」

毎日社説が指摘するように「泥仕合が避けられた」だけでも前進である。裏を返せば、それだけ日韓関係は悪化していたことになる。

日韓関係を悪化させた原因は元徴用工問題にある

毎日社説は続ける。

「この判決により、両国関係は過去最悪と言われる状況に陥った。1965年の日韓国交正常化の根幹を揺るがす内容だったためだ」

この判決とは昨年10月の韓国最高裁による元徴用工判決である。これまで安倍政権も主張してきたように「日韓国交正常化の根幹」に大きく関わる問題判決なのである。

「日本政府は表向き否定するものの、輸出規制は元徴用工問題で動こうとしない韓国に対する報復措置だと受け止められている。元徴用工問題の解決なしには、輸出規制措置の撤回も困難である」

日韓関係を悪化させた原因は元徴用工問題にある。この問題の解決なしには、輸出規制措置の撤回などできないのだ。毎日社説は問題の本質をきちんと把握している。