解決を進めるのは「天皇陛下に謝罪を要求」の国会議長
「韓国国会では、日韓両国企業などが自主的に寄付金を拠出する形で元徴用工問題の解決を図ろうという動きが見られる。市民団体の反対や国会の混乱などにより先行きは不透明だが、進展を静かに見守りたい」
実際、韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が日韓両国の企業・個人などの寄付金によって元徴用工などに慰謝料を支給するための法案を国会提出した。韓国が設立する財団法人に寄付金による基金を設立するものだ。だが、文議長は露骨な表現で天皇陛下に謝罪を要求した張本人である。いくら親日家との評価があるはいえ、そんな文議長を沙鴎一歩は信用できない。ここは「進展を静かに見守る」のではなく、注意深く見ていく必要がある。
それだけではなく、寄付金による解決策はいくつかの問題も指摘されている。
たとえば原告が拒否すれば、日本企業の資産が売却されて賠償に充てられる危険性はある。実際に「日本企業の謝罪と賠償が必要だ」と反発する原告もいる。支給対象の範囲も広げられ、韓国政府から慰労金を受け取ってきた元軍人・軍属なども加えられた。
「韓国政府の不毛な反発」とまで言い切る産経社説
次に産経新聞の社説(主張、12月18日付)を読んでみる。
嫌韓を隠さない産経新聞社の社説らしく、見出しは「対韓輸出管理 日本は揺るがず原則貫け」とストレートである。
産経社説は指摘する。
「日本の措置に対する韓国政府の不毛な反発が収まるのであれば、この対話は確かに重要な意義を持つ。ただ、両国の溝はいまだ埋まっておらず、本当の『進展』には、なお時間を要することになろう」
「韓国政府の不毛な反発」と言い切るなど産経社説はよほど韓国が嫌いなのだろう。さらに産経社説は書く。
「韓国が日本に求める措置撤回について、菅義偉官房長官は『相手国と協議して決定するような性質のものではない』と述べた」
「当然である。日本が問題視する韓国側の体制不備について、韓国自身が具体的な改善策を示さないかぎり、日本は厳格化した手続きを元に戻しようがない。この点を韓国は厳しく認識すべきだ」
悪いのはどこまでも韓国だ、というのが産経社説のスタンスなのだ。かたくな過ぎないか。これでは国と国との交渉ごとは成立しない。外交の基本は、自国の利益を念頭にしながら相手国の痛いところを巧みに突いて相手国を納得させるところにある。理想は肉を切らせて骨を断つ戦術を駆使することだ。産経社説では相手の肉も骨も切ってしまうことになる。