デマをネットに流して、世間の歓心を買う

ジョンソン氏とトランプ氏は55歳と73歳と年齢は離れているが、性格や言動はとてもよく似ている。

2人とも発言がかなり大ざっぱだ。人種差別や女性蔑視の失言も多い。あきれるのは、事実とは違う情報を無責任に大勢の人の前で話し、ネットにも流す。選挙戦では実現の難しい公約を大っぴらに掲げ、支持者の歓心を買おうとする。支持者の求めるところを見つけ出しては、さらに支持者を増やしていく。ジョンソン氏もトランプ氏も、ポピュリズム(大衆迎合主義)の政治家である。

12月12日に投開票されたイギリス下院総選挙で、ジョンソン氏は「EU(欧州連合)離脱」を前面に押し出し、何度も「来年1月31日までに離脱する」と叫び、混乱に疲れて早期収拾を望んでいた有権者の心をつかんだ。

「でっち上げ記事」が問題になった元ジャーナリスト

ジョンソン氏は破天荒な政治家だ。英オックスフォード大卒のエリートで、ジャーナリズムの世界で活動した後、下院議員、2度のロンドン市長、外相とキャリアを重ねている。

一方、英タイムズ紙で研修生として働いたときには、でっち上げ記事が問題となって解雇された。その後、デイリー・テレグラフ紙に入社し、ブリュッセル特派員として働いたものの、事実を誇張した記事を書くことから度々問題になった。

週刊誌『スペクテイター』の編集長やBBCのニュース風刺番組の出演者を歴任し、奇想天外なキャラクターが徐々に人気を集めていった。

ボサボサの金髪頭。小太りで前かがみの風貌。離婚と再婚も繰り返しており、英国の政界ではその存在の異様さが際立つ。

トランプ氏の「アメリカ第一主義」は有名だが、ジョンソン氏も「イギリスを偉大な国にしよう」と国益の優先を唱えてきた。彼も確かな自国第一主義者である。