第51回衆議院議員総選挙は8日に投開票され、自民党が圧勝した。単独で3分の2を超える316議席を獲得。これによって皇室問題はどうなるか。皇室史に詳しい島田裕巳さんは「意外にも、保守派が掲げる『旧宮家養子案』から、時代が『女性・女系天皇』に向かっているのが見えてくる」という――。
上皇ご夫妻への新年のあいさつのため、仙洞御所に入られる愛子さま=2026年1月1日午後、東京・元赤坂(代表撮影)
写真提供=共同通信社
上皇ご夫妻への新年のあいさつのため、仙洞御所に入られる愛子さま=2026年1月1日午後、東京・元赤坂(代表撮影)

選挙で議論されなかった皇位継承問題

衆議院選挙が終わった。結果は報道されている通りである。

慌ただしい選挙だっただけに、政策論議ということでは、それは十分になされなかったように思える。それぞれの党の政策が似てきてしまったことも、そこに影響していた。

そんな選挙であったため、ある重要な事柄が議論されないままに終わってしまった。その事柄とは、皇位継承の安定化や皇族の数の確保の問題である。これについては、ここのところ国会で議論はされてきているものの、結論は出ていない。

今回の選挙での各党の公約を振り返ると、それについて言及している党もあれば、まったく何も述べていない党もあった。作家の百田尚樹氏が代表を務める日本保守党などは、重点政策の最初に「皇室典範を改正し、宮家と旧宮家との間の養子縁組を可能にする」を挙げていた。だが、こうした政党は珍しかった。

与党の自民党と維新の会は、日本保守党と同様に、皇族が旧宮家から養子をとれるよう皇室典範を改正することを政策として掲げていた。参政党になると、「男系による皇位継承を堅持」するとした上で、やはり「安定的な皇位継承を維持するため、旧宮家の皇籍復帰」を提案していた。

旧宮家の養子案を強く打ち出した保守派

これに対して、立憲民主党と公明党の衆議院議員が参加した中道改革連合になると、皇室の問題にしては政策に何も盛り込んでいなかった。共同代表の野田佳彦氏が、自民党の麻生太郎副総裁と国会でその問題を議論していたにもかかわらず、である。

国民民主党の場合には、政策の最後の部分にそれを挙げていた。政府の皇位継承に関する有識者会議が2021年12月にまとめた報告書にある女性宮家の創設案と、旧宮家の養子案とともに、「皇統に属する男系男子を法律により直接皇族とする案も採用し」た上で、この問題を議論すべきだとしていた。ただ、この3つのうち、どの方向で臨むのかを明確にしていなかった。日本共産党、社民党、れいわ新撰組、チームみらいになると、まったく言及していなかった。

つまり、与党や保守政党が、養子案を強く打ち出したのに対して、野党側は、姿勢を明確にはしていなかったのである。そのことが選挙結果を決めたとは言えないだろうが、全体の動きとしては、旧宮家から養子がとれるよう皇室典範を改正する方向に向かっているように見える。