なぜ人は嫉妬するのか。キリスト教では「七つの大罪」の1つとされている嫉妬。しかし、その嫉妬を武器にした人たちがいる。田中角栄、三島由紀夫、松下幸之助、手塚治虫……。なぜ彼らは歴史に名を残したのか。なぜ、今でも多くの人が彼らを慕うのか。

精神分析領域では嫉妬は2種類ある

精神分析の領域では、嫉妬には2種類あるとされています。1つは自分が誰かに負けていると思ったときに「そいつに勝つために努力してやろう」というプラスのパワーになる嫉妬。もう1つは、「そいつを引きずり降ろしてやろう」というマイナスのパワーになる嫉妬です。前者は「ジェラシー型の嫉妬」後者は「エンヴィ型の嫉妬」と呼ばれています。

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精神分析の祖であるフロイトに言わせると、人間の嫉妬はジェラシー型でした。その根拠となるのが「エディプスコンプレックス」という心理概念です。父親を殺し、母をめとったギリシャ王神話のエディプスになぞらえて命名されたこの概念は、簡単に言えば、男の子が幼少期に抱くとされている父親への劣等感です。