「複層的で健全な隣国関係を生み出す機会」とは何か
12月24日付の朝日新聞の社説は「習主席来日へ 国賓で迎えるためには」との見出しで習近平国家主席の4月の来日に言及する。
ただしその書き出しは小難しい。
「世界で影響力を増す中国と、日本は今後どんな関係をめざすのか。対立でも迎合でもない、複層的で健全な隣国関係を生み出す機会ととらえるべきだ」
この「複層的で健全な隣国関係」とは何を指すのだろうか。
「中国が日本への態度を和らげた背景には、米国との覇権争いがあるのは間違いない。中国経済の伸びが減速していることもあり、日本を引き寄せておく考えに傾いているとみられる」と解説しながらこう主張し、指摘する。
「巨大市場を持つ中国との良好な関係は日本経済にもプラスだが、習氏来日の際に両国がめざす合意事項は、そうした近視眼的な思惑や融和ムードの演出で終わらせてはならない」
「米中関係次第で揺れるような脆弱な関係から脱却し、懸案ごとに率直に討議できる関係が築けるかが問われている」
朝日社説は「懸案ごとに率直に討議できる関係」が「複層的で健全な隣国関係」と言いたいのだろう。
尖閣周辺では「接続海域」に入った中国公船が過去最多に
「両国間で根本的に異なる自由と人権、民主主義の原則で、日本は主張を貫くことがすべての前提である。香港と新疆ウイグル問題について、安倍氏はきのう、積極的に懸念を伝えたと日本側は説明している。今後、もし日本側が言を濁すならば、国内外から不信の目を向けられることを忘れてはなるまい」
「積極的に懸念を伝えた」と朝日社説も前向きに書く。だが、そこは安倍嫌いの朝日社説である。「もし日本側が言を濁すならば」と駄目押しも忘れない。
朝日社説は書く。
「尖閣周辺では今年、接続海域に入った中国公船が延べ1千隻を超え、過去最多となった。これでは両国関係が『正常な軌道に戻った』(安倍氏)とは、とても言えない」
「日本国内には、さまざまな理由で『国賓』招待を疑問視する声が出ている。日本の世論の対中感情も改善しないままだ。その主な理由はやはり習近平体制の強権体質にある」
朝日社説が指摘するように、習近平体制の強権体質を国際社会が是正していかなければいけない。まずは香港で30年前の天安門事件のような惨劇が起こらないように、中国に対する国際社会の監視の目を強めることだろう。