「同僚に元気がない」
こんにちは、産業医の武神です。日々産業医面談をしていると、たまに社員から「同僚が最近元気がなくて心配」といった、周囲の人を気にかける声を聞くことがあります。
まず、同僚の変化に気づいたこと、そして気遣って私に相談してくれたこと、とても嬉しく思います。他人を気遣うことは自分を気遣うことにもつながりますので、産業医としては、こういう声はとても嬉しいです。
そこで今月は、このような時に多くの人に知っておいてほしいことを3つお話しさせていただきます。
まずは1つめ「ストレス症状は自覚しづらい」です。
人は、自らにかかる負荷が自分の許容限度を超えていっぱいいっぱいになる、つまり「ストレス」を感じると、その反応が、心や身体、行動に症状として現れます。
このうち、本人が最も気づきやすいのは身体症状(不眠、食欲低下、頭痛やめまい、動悸や冷や汗など)で、わかりにくいのが精神症状(やる気が出ない、億劫、不安、イライラ、憂鬱など)です。そして周囲が最も気づきやすいのは、行動や表情の変化(飲酒・喫煙の増加、遅刻・早退、会話の減少など)です。
しかし、心や身体の症状に早く気付けば早い治療につながるわけではありません。心や身体の症状の原因がストレスであることは、当事者には見逃されやすいのです。
「仕事ができる人」の傾向
心や身体の状態は、目で見てわかるものではないため、本人でさえ気づかないことが多いです。まして、他人が気づくのはさらに難しいことです。また、こういった心や身体の症状は徐々に進行します。ある日突然、抑鬱状態やめまいになるのではなく、いっぱいいっぱいな状態が続くと、徐々に頻度が増えたり、強くなったりして症状が進み、気づいた時にはかなり進んでいるというのが典型的なパターンなのです。
最終的に心や身体の症状に気がついても、その原因としてのストレスの可能性を、「まさか私が」「自分がメンタル不調になるわけがない」という思いが先行して否定してしまい、治療をさらに遅らせます。特に、仕事ができる人、責任感の強い人に、この傾向が強くあります。
さらに付け加えるならば、ストレス反応としての身体症状は、心の症状よりは分かりやすいですが、全ての身体症状が必ずしもストレスによるものとは言いきれません。こうした症状は、ストレスのせいでなくても、肉体的な不調のせいで起こることも多々あります。
ですから、同僚に、本人の自覚がないのにストレス症状が見られる時、周囲から声をかけて気づかせてあげること、次のステップへ促すことはとても大切です。

