「救急医療体制の崩壊」がいつ起きてもおかしくない

もしあなたの目の前で突然人が倒れたら、まず一番最初にすべきことは何かわかるだろうか。

「9月9日」は厚生労働省が定めた救急の日。2019年は9月14日まで救急医療週間である。医療従事者ではない一般市民にはなんの関係もなさそうだが、そうではない。救急医療に目を向けることは、自分や大切な人の「万が一」を守ることになるだろう。

撮影=笹井恵里子
湘南鎌倉総合病院の救急診察の様子

私は8月に『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)を上梓した。執筆にあたり、日本全国の救命救急センターを取材してきた。

実はいま日本の救急医療は危機に瀕している。高齢化に伴って救急患者が激増しているためだ。増え続ける患者に対応できず、このままでは各地域で救急医療の閉鎖、呼んでも救急車が来ないなどという「救急医療体制の崩壊」がいつ起きてもおかしくない状況だ。事実、すでに閉鎖が始まっている地域もある。

しかし、一般市民も救急医療に大きく貢献できることがあるのだ。それはこれまでよく指摘されてきたような「救急車の適正利用」ではないと、私は考えている。

救急医療崩壊を防ぐために、すべての社会人に知ってほしい3つのことを挙げたい。