▼日本史の偉人を語る
日本における教養はかつて漢籍だった
歴史上の人物について語る人に問われるのは、それが単なる蘊蓄に類するものか、それともしっかりした教養に基づいたものかということです。この場合の教養とは、体系的なひとつの思索の一端としての教養です。あのときはああ言い、このときはこう言うでは説得力がない。ばらばらの豆知識ではなく、自分の考えを整合的にまとめる必要がある。
渋沢栄一が、新札の図案に採用されて話題になりました。彼の彼たる所以は、財閥をつくらなかったところにある。持ち株の大半を公開し、一族で私(わたくし)しなかった。何百という企業の設立に関わって日本の資本主義の礎を築き、優に4大財閥と肩を並べる財閥をつくれたのに、彼はそれをしなかった。そして大金を教育や医療などの社会貢献活動に投じた。
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(構成=石川拓治 撮影=遠藤素子 写真=毎日新聞社/AFLO)


