日本企業は平成最後の10年に力を取り戻した

平成の30年間は、日本企業にとってどのような時代だったのでしょうか。平成はバブルの絶頂で幕を開けましたが、平成元年をピークに、日本企業は長い下り坂を経験することになります。それは、当初は「失われた10年」と呼ばれ、やがて「失われた20年」になりました。しかし、「失われた30年」と呼ぶ人はあまりいません。なぜなら、平成最後の10年は、それまで迷走気味だった日本企業が、めきめきと力を取り戻してきた期間だったからです。

日本のマクロ経済の動きを見ると、リーマンショックの起きた2008年から東日本大震災の起きた11年前後を底に、その後はほぼ連続して回復していることがわかります。失業率は下がり続け、日経平均株価は上昇し続けているのです。17年の失業率はバブル期と同じ水準に、同年の株価は1991年の水準に戻っています。

リーマンショック後のどん底から、日本経済が見事に回復してきていることは、企業の事業効率を示す2つの指標の動き(グラフ参照)にも、はっきりと表れています。

日本の法人企業全体(上場企業だけでなく、中小企業も含む。ただし、金融業と保険業をのぞく)の売上高営業利益率も実質労働生産性(実質1人当たり付加価値、GDPデフレーターで実質化)も、08年を底としてほとんど一本調子で改善してきています。そしてバブル期のピーク(89年あるいは90年)をはるかに追い抜いています。

こうしてみると、平成最初の20年は、「バブルの傷」がいかに深かったか、ということを改めて感じます。傷には2つの意味があります。1つは「財務の傷」です。金融機関が大量の不良債権を抱え、99年に金融崩壊が起きると、銀行は頼りにならなくなります。その結果、企業はその後自己資本を積み増していくようになります。