社員が活き活きする職場づくりの仕掛け術

ここ数年、「健康経営」への注目が高まっています。この健康経営の考え方を一歩進めた「ウェルビーイング経営」を私は提唱しています。

ウェルビーイングとは、アメリカ心理学会の心理学大辞典によれば、「幸福感や満足感があり、それほど大きな悩みもなく、身体的、精神的に健康で、生活の質も高い状態のこと」です。こうした従業員のウェルビーイングに働きかけることを通じて、組織の業績を高めていこうというのが、ウェルビーイング経営の基本的な考え方です。

ウェルビーイング経営を理解するためには、健康経営とは何かを知っておく必要があります。経済産業省では、健康経営を「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」としています。健康経営は、従業員の健康と組織の生産性の両立を目指す企業の取り組みといえるでしょう。

健康経営の普及状況は、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人認定制度」の認定企業も年々増えており、2019年2月に発表された「健康経営優良法人2019」では、大規模法人部門で820、中小規模法人部門で2503の法人が認定されました(認定数は3月1日現在)。

健康経営が注目される背景には、次の4つの期待があると考えられます。

①医療費の削減…従業員の病気の発症や重症化を予防することで、医療費負担の軽減が期待できます。

②メンタルヘルス対策…従業員のメンタルヘルス不調は深刻な問題であり、その予防的効果が期待されています。