中期経営計画づくりが、ビジネスチャンスを奪う理由

今、あなたがやっていることは、本当に今やるべき重要なことでしょうか? 重要かどうかは、それをやることによるコストとリターンだけで捉えられがちです。例えば、マンションの購入には一定のコストがかかりますが、それによって便利で豊かな暮らしというリターンが得られることで、マンション購入は成功したと言えるかもしれません。しかし、マンションの購入費用を何か別のものに投資していたら、もっと高いリターンが得られたかもしれません。また、バーゲンに出かけたことで、安い買い物ができたかもしれませんが、その時間を運動や勉強に使うことで、将来より大きなリターンを得ることができたかもしれません。このように、何かをやることで「やらなかったこと」や「できなくなったこと」を「機会損失」と言います。

ファナックは広い視野でベンチャー企業との協業を決めた。(時事通信フォト=写真)

機会損失の特徴は「見えない」ことです。そのため、気をつけようと思っても目の前のことに気を取られ、「もしこれに時間をとられなかったら何ができるか」「ほかにもっと重要なことはないのだろうか」ということにまで、なかなか注意が行き届きません。