労働条件の多様化とテクノロジーの活用
2018年12月、外国人労働者の受け入れを拡大するための改正出入国管理法が成立し、19年4月から施行されます。背景には、国内の人手不足の問題があります。
人手不足の直接の原因は、生産年齢人口(15~64歳)の減少です。その中でも、若年層が大きく減少しています。総務省の労働力調査によれば、15~24歳の人口は2000年には1617万人いましたが、17年は1221万人と、約400万人(24.48%)減少しています。00年の頃の4分の3です。一方、同じ年の50歳以上の人口を比べてみると、4859万人から5856万人と約1000万人(20.51%)も増えています。こうしてみると、改めて高齢化が急速に進んでいることがわかります。
こうした中でも、多くの企業では依然として若年層を中心とした採用を行っています。そのため、なかなか人が採用できない状況が起きていると考えられます。「求人を出しても人が来ない」とよく言われますが、人は来ているはずです。ただ、企業が望む条件に見合う人が来ないということが実態ではないかと思います。
今後も若年層人口を中心に生産年齢人口は減少傾向をたどり、人手不足の傾向は強まっていくと思います。こうした人口減少の傾向は急には変えられません。今後、少子化対策に取り組んで子どもを産みやすい環境を整えて出生率が高まったとしても、そもそも若年層が減少傾向にある中で、出生数で死亡数を補うことは非常に困難で、対策をしても、その効果は21世紀中には表れないかもしれません。
なお、少子化対策というと、子どもを産み育てることばかりが注目されますが、今や、少子化対策は高齢化対策とも言えます。生産力が減少していく中で、どうやってこの社会を維持していくか。そのための労働力の確保も、出生率を高めることと同様に重要になっています。そこで一番のキーとなるのが女性の働き方です。単に女性の就業率を高めるだけでなく、子育てをしながらでも働きやすい環境を用意しないと、持続性が保てない可能性があります。女性の就業率のグラフを見ると、かつては出産・育児世代が離職し、子どもが成長してから再び働くために、真ん中の世代が凹むM字形になっていましたが、最近はその凹みがなくなり台形になってきています。背景には、子育てをしながら働く女性が増えた一方で、未婚率も上がっていることが挙げられます。ずっと働き続けるために未婚を選ぶ女性も増えているのです。この状況を変えない限り、出生率は上がりません。