なぜ富士フイルムは、ヘルスケア事業に進出できたのか

グーグルやアマゾンを代表とする米国のIT企業が躍進し、世界中で事業を急速に拡大している一方、ものづくりで成功してきた日本企業は、いまだに迷走している感があります。国内では、政府主導で米国流の株主利益主義が浸透し、さらには中国企業が台頭してくる中で、日本企業はかつて成功したパラダイム(考え方の枠組み)のもとに、ひたすら効率を高め、コストを削減して、利益を上げようとする方向に進んでいます。

しかし、こうしたやり方を続けていては、変化の激しい環境には対応できません。重要なのは、コスト削減よりも付加価値を最大化することです。そのためには、パラダイムの変革が必要であり、企業には、従来と異なる能力が求められます。それが今、経営学の世界で注目されている「ダイナミック・ケイパビリティ(変化対応自己変革能力)」です。