世界で最も進んでいる国はスウェーデン

最近、「キャッシュレス」という言葉をよく聞くようになりました。キャッシュレスというと、「◯◯ペイ」と呼ばれるようなスマートフォンを使った決済サービスをイメージするかもしれませんが、銀行振り込み・引き落としやクレジットカードでの支払いなども該当します。キャッシュレスとは、現金を使わないということ。私たちは、すでに何十年も前からキャッシュレスを利用しているのです。それが、昨今のフィンテックの進歩により、キャッシュレスの新たなサービスが登場し、世界中で普及が進んでいます。

キャッシュレスによる支払いは、その仕組みによって大きく次の4つに分類できます。

①預金振替…振り込み、引き落とし、デビットカードなど、銀行預金に基づいた決済の仕組み。銀行預金からの引き落としを利用するクレジットカードもここに含まれる。

②電子マネー…企業や団体が独自に発行し、カードやデバイスなどにチャージして使う。チャージ方法は現金、預金、クレジットカードなど。

③仮想通貨…ビットコインなど、インターネット上で電子データのみでやりとりされる通貨。法定通貨ではない。

④電子通貨…中央銀行が発行するデジタル形式の法定通貨。現在は研究段階。

世界のキャッシュレス事情は、地域によって異なります。ヨーロッパでは銀行預金振替のモバイルペイメントが発達しており、クレジットカードの利用はそれほど多くありません。アメリカでは、ペイパルのようなエイリアスサービス(店舗にクレジットカード情報を伝えることなく支払いできるサービス)が普及。アフリカでは、銀行口座を持つ人が少ないため、銀行口座のいらない電子マネーが発達しました。中国や東南アジアでは、クレジットカードとともに、電子マネーのQRコード決済が普及しています。

世界で最もキャッシュレス化が進んでいる国はスウェーデンです。2018年にはモバイルペイメントのSwish(スウィッシュ)の利用率が現金を上回りました。Swishは、主要銀行11行による統一ブランドのサービスで、24時間365日リアルタイムで決済できるシステムが構築されています。

同国でキャッシュレス化が進んだ理由の1つに、現金の切り替えがあります。10年に1度くらいの頻度で新たな紙幣や硬貨が発行されるため、古い紙幣や硬貨は一定期間を過ぎると無効になります。人々は銀行に行って古い紙幣や硬貨を交換しなければなりません。その際に多くの現金が預金されるため、キャッシュレス化が進むのです。