国内外で492ホテル(設計・建築中等含む)を展開、2017年11月期連結決算では、ホテル事業は売上高が1050億円(前年比16.9%増)で、初めて1000億円を突破。無双状態のアパホテルをけん引する“天才女社長”元谷芙美子氏に、きつく言えない現場への話題の振り方を聞いた――。
私が入室したら、全員が立ち上がる
私は現場で即断即答。逃げずに、愛情を持って単刀直入に言います。現場でないと臨場感もないし、注意された側もなぜ叱られたのかわかりません。その場そのときで言うだけで、後から言うことはありません。前のことを蒸し返して何度も言う人がいますが、私は自分の性格上しません。
緊張感・尊敬の念が足りないという理由で、エリート社員たちを叱ったことがあります。本社には、子会社社長など、経営企画の中枢が集まるセクションがあり、私は滅多に顔を出しませんが、たまたま出向いたときがありました。しかし、彼らは私にまったく気付かず、挨拶もない。私のほうから挨拶しましたが、「それではいけない」とビシッと叱りました。
「君たちは勘違いしている。自分でエリートだと思っているでしょうが、とんでもない。現場に出て、汗水垂らして頑張ってくれている人こそがエリート。私が入ってきたときに、全員が立ち上がって『お疲れさまです』と言えないようじゃ、うちの会社も終わり。一流じゃないよ」と。あまりたくさん言ってはいけないので、1分以内にまとめて。現場の雰囲気も引き締まりました。
「人気のある素敵な社長になりたい」と思ってはいけません。言いにくいことでも、ここで言わなきゃ会社が駄目になるというときは、トップとして引いてはいけない。きちんと教育すること。嫌われることを恐れず、愛情を持ってしっかりと伝える。強い連帯感があれば、「社長は、親以上に僕のことを思ってくれるんや」と受け止めてくれると私は信じています。