90歳までは、ミニスカートはきたい

親の務めとして、どれだけ忙しくても、授業参観などの行事を休んだことは1度もありません。先生との三者面談、PTA活動もパーフェクトにやりました。きっちりやり切らないと精神的に気持ちが悪い。息子たちも、よかったと思ってくれているはずです。

お金に関しても厳しく教育してきました。1円たりとも無駄遣いや贅沢をさせたことはありません。学生時代の仕送りはぎりぎりの生活費で5万円くらい。たくさんアルバイトして大変だったと思います。19円の“鼓笛隊ラーメン”を安売りのときに買ってそれで我慢したとか。

長男が学生時代に買った車は、15万円のボロボロのカリーナ。埼玉の山奥の解体業者みたいなところから買って、乗って帰るときに首都高で止まっちゃって、直しながらなんとか帰ってきたとか。そういうアドベンチャーライフがためになっているはずです。今になって、息子たちはグループ社長や専務になっています。帝王学の1つとして、トップとしてふさわしい人物でありなさいと話していますが、お金や生き方について決して甘やかしてきたことはありません。

創業者とは違いますので、二代目らしく、謙虚な気持ちでやってくれれば安泰。「親を超えよう」というのは二代目として間違いです。資産を守っていくだけでも大変なこと。跡取りとしてトップの器量を身に付け、会社を守ってほしいですね。

女性だからといってビジネスで損することはありません。女性の社長や管理職に対して社会は優しい。むしろ守られ、得しています。男の人は素晴らしいです。「そんなこと言うなんて古い」と言う方がいらしたら、そう思うほうが偏見だと思います。

アパのみんなが頑張ってくれてこその私の地位です。謙虚に、感謝しながら務めています。一歩下がって、かわいい社長じゃないとおかしいじゃない? 志は高く、腰は低く。花ごころあふれる優しい気持ちで、感謝の気持ちを伝える。お客さまにも華やかな自分であることを見せ続けないと駄目。

そして健康であらねばならない。簡単なことなんだけど、基本的なことがやっぱり大事。心身ともに健康でなければ、迫力のある言葉は出せない。社長のインパクト、オーラ、一生懸命さ、いろんな愛情もにじみ出てきません。DNA上、私は126歳までは生きられると聞いています。まだ10年、20年現役! 90歳までは、ミニスカートで頑張っていたいですね。

全員に嫌われない人になりたいと思っては駄目

元谷芙美子
アパホテル 社長
1947年、福井市生まれ。県立藤島高校を卒業後、福井信用金庫に入社。22歳で結婚し、翌71年、夫が設立した信金開発(現アパグループ)に入社、取締役に就任。94年から現職。2011年早稲田大学大学院博士課程修了。日本舞踊、ヨガ、習字など趣味も多彩。
(撮影=原 貴彦)
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