息子2人には「勉強なんかするな」
部下は恋人以上に愛して、息子以上に慈しんであげること。「自分の分身」だと思えば、どんなことを言っても通じます。部下たちは、お里のご両親と離れて暮らし、悲しいかな、年に数回しか会って孝行できない。一方で、私とは毎日のように会える。だからこそちゃんと育てて、褒めて、伸ばしてあげないと。厳しい言葉でも勇気を持ってしっかり言う。息子以上に大事やと思っているから言えるんですよ。後でちゃんとフォローして、「将来期待しているよ」と言えばわかってくれます。
実務上、部下は上司より優秀であって当たり前。優秀な部下に慕われて、いい仕事ができればいいじゃないですか。今の私の秘書とは、3~4年目になりますけれど、毎日噴き出すほど笑い合っています。いい関係です。
社員教育では、部下には細かいことは一切言わずに、自分の背中を見せるのみ。商談では、私がお客さまを最前線で待ち、まっ先にご挨拶します。不動産契約などの大きな仕事は、最初の出会いがすべて。挨拶は「居合抜き」みたいなものです。「おはようございます」「お待ちしておりました」「いらっしゃいませ」。相手さまの心と心臓を一瞬にしてつかみ取らなければ、言葉にする意味もありません。私より先に挨拶できる社員や、お客さま、今までそんなに会ったことがないですね。
「勉強なんかするな」と言って2人の息子を育てました。勉強はできて当然、習ったことができないなんておかしい。勉強はただ記憶力の強い子をつくるだけです。今はインターネットで調べればすべて解決するじゃないですか。そんなことで周りとしのぎを削って、偏差値の高い大学に行きたいなんて。そういう心がけじゃ大成しません。
先見力、洞察力、決断力――いろんなものが備わらないと「帝王学」は成り立たない。私は息子たちを、1度も子ども扱いしたことはありません。小さな頃から大人の論理で、人間としての生き方を教えてきました。私たちが夜の12時まで仕事があれば、それまで起こしておいて「お帰りなさい」と言わせる。幼稚園の頃から「ここにマンションやホテルを建てたりするんだよ」と言って土地を見せてきました。