なにが「面接」の成否をわけるのか。雑誌「プレジデント」(2018年10月29日号)では「面接」に関する大特集を組んだ。今回、そこから3つの基本を紹介しよう。第1回は「第一印象をよくする心理学のテクニック」について――。

“中身”より“見た目”、第一印象で面接は決まる

世の中には、面接ウケのいい人間がいる。転職や子供の受験など、面接が人生に大きな影響を与えるシーンは多い。面接ウケをよくするためには、どうすればいいのだろうか。

写真=iStock.com/Tomwang112

「最近の研究では、第一印象は0.2秒で決まる、と言われています」と話すのは、立正大学心理学部名誉教授の齊藤勇氏。さらに、齊藤氏はニュートンの発見した「慣性の法則」と同じような一貫性の法則が人間の心にはあると続ける。

「ある方向に心が動き始めると、そのまま同じ方向に動いていくんです。面接官はあなたに対するイメージが真っ白な状態から、最初の0.2秒で“1つのイメージ”を抱きます。白い紙に赤のインクを落としたら、それを青に変えるのが難しいのと同じように、最初に与えた第一印象が、その後のあなたの評価につながっていくのです」

たった0.2秒で決まってしまうのでは何もできない、と思うかもしれないが、見た目、つまり服装や身だしなみに気を配ることは、事前にできるうえに効果が高い。

たとえば転職の面接。新卒と違い、チャコールグレー、ネイビーと、スーツの自由度は高い。しかし、ファッションだけで色を選んではいけない。色彩心理学というものがあり、色は自分の気持ちや相手に与える印象を左右すると言われている。以下に色の心理的効果をまとめてみた。

外向的で派手、新奇好き、目立ちたがりで刺激を求める
外向的で派手、新奇好き、挑発的で冒険心がある
外向的で清潔
礼儀正しく、知的、清潔、伝統的傾向がある
派手で成熟している。異性への関心が高い。目立ちたがりで見栄っ張り
清潔、上品、若々しい
黒:自己主張が強い、暗い
グレー周囲に溶け込みやすい。調和が取れて穏やか。控えめ

色彩心理学的にいうと、青系の色が知的さや礼儀正しさを感じさせる、面接にぴったりの色だという。

「服装などで自分のイメージをコントロールすることを、心理学的に『印象管理』と言います。また、服装や身だしなみは、相手へのリスペクトを伝える手段でもあります。汚れたワイシャツや靴、よれよれのスーツでは、リスペクトは伝わりませんよね」