“いい印象”を、履歴書に仕込む
第一印象をよくするために、面接前にできることは多い。たとえば事前に提出する応募書類もそうだ。
同じ人物について、(1)「知的・勤勉・批判的・頑固」と表現した場合と、(2)「頑固・批判的・勤勉・知的」と表現した場合では、どちらが印象がよいと感じるだろうか。じつは(1)と(2)は並びを逆にしただけで、使っている言葉はまったく変わらない。しかし、(1)の場合のほうが、その人物への印象がよくなるという。これは「初頭効果」といい、最初に与えるイメージがいかに重要かを物語っている。
この初頭効果を狙って、自分の“好ましい印象”を履歴書に仕込んでおくのだ。たとえば、履歴書には必ずある「志望動機」を例にあげよう。「貴社の社風が自分に合うと思ったので」と書くより、「貴社の社風が外交的な自分に合うと思ったので」といった感じに、「外交的」という印象を入れ込んでおけば、面接官は最初から、あなたを外交的な人として見るだろう。
「とにかく、最初にプラスの印象を与えることが重要なんです。日本人は、自分を謙遜して表現しがちです。それが謙虚な姿勢として評価されていた時代もありましたが、今は積極的に自分の長所をアピールするほうが好まれると思います」
笑顔と明るい声が、面接を突破するカギ
初頭効果を狙うために最も簡単で効果的な方法がある。それは「笑顔」。人は、進化上、知らない人に会うと敵対し、緊張してしまう生き物だといわれている。笑顔はその緊張を緩和させる有効な手段なのだという。第一印象をよくするためには、面接室のドアに入った瞬間から笑顔を心がけたほうがいいというわけだ。
とはいえ、なかなか自然に笑えないという人も多いだろう。その場合は、面接時には、せめて口角を上げることだけでも意識したほうがいいそうだ。
「対人魅力の心理学では『6・3・1の法則』というものがあり、好意を生むのは、6割は表情、3割は声の性質、1割が内容、つまり言葉だとされています。人は会話中に、意識的・無意識的に相手が自分に好意を持っているかどうかを測るものです。その好意を測る材料は、表情が6割で最も比重が高いんです」
たとえば、無表情で「好きです」と言われても、その言葉をそのまま受け取る人はいないだろう。表情が伴っていなければ、本心は好きではないのでは?と勘ぐってしまう。面接でも同じだ。どんなに意欲があろうとも、表情が乏しければ、あなたの意欲は面接官に伝わらない。同様に声も重要だ。面接時には明るい、はっきりした声で話すことを心がけよう。