なにが「面接」の成否をわけるのか。雑誌「プレジデント」(2018年10月29日号)では「面接」に関する大特集を組んだ。今回、そこから3つの基本を紹介しよう。第2回は「面接官が感動する鉄板ネタ」について――。

面接前に足を使って“生の情報”を得る

面接の前に、企業研究が必須であることは言うまでもない。しかし、5万人以上に話し方指導を行ってきた野口敏氏は、「多くの人が、企業研究が不十分なまま面接に臨んでいる」と話す。

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「ネットで得た情報だけでは足りません。自分の足を使い、“生の情報”を得ることが大切です」

野口氏は、転職したい企業を事前に見に行くことを勧める。セキュリティが許すところまで入り、社員の服装や表情を観察。できれば会話を聞けるとよいと言う。中に入るのが難しい場合、玄関から出てくる社員の服装、表情、話しぶりを観察する。また、同業他社に勤める人にその企業の評判を聞くのもお勧めだ。

「会話が弾む一番の方法は、相手に興味を持つこと。その企業に興味を持って知ろうとしなければ、面接で話が弾むことはありません」

その企業の商品やサービスについても、生の情報を得ておこう。食品業界なら商品を食べる、建設業界ならば建築物を見に行くなど、できるかぎりの努力をしておきたい。これは志望動機でも同様だ。

「『業界ナンバーワンの御社に~』というより、『同業他社の方にお話を聞いたところ、御社のことをすばらしい企業だと話されていて』と言うほうが、面接官の心に強く残ります。そこまでうちに興味を持って調べてくれたのか、と思われますから」

では、実際の面接時には、どこを気をつければいいのか。第一印象をよくするコツとしては、「どうぞ、私の長所も短所も見てください」という気持ちで面接に臨むことだとか。

「面接の場では、短所を見せたくない、という気持ちが働くため、硬い印象を与えがちです。自分を見てください、という気持ちで臨めば、自然な態度でいられます。また、緊張しがちな人は、緊張したらダメだとは思わず、自分は今緊張しているな、と認めるほうが楽になれます」

第一印象の良しあしは、その後の質問内容にも影響する。

「面接官が、この人いいなと思えば、採用する方向の質問になりますし、逆の場合は落とす方向の質問になりがちです」

異業種からの転職を仮定しよう。前者の場合「異業種ですが、どんなことに挑戦してみたいですか?」という質問になり、後者の場合「異業種ですが、なぜうちに?」と、質問のニュアンスが変わる。やはり第一印象が大事なのだ。