性欲は「老いれば枯れる」のではない
場所は変わってミナミにある創業80年を超える老舗キャバレー。ステージ上で電子オルガンが奏でられ、昭和が漂う店だ。午後5時に開店すると、ここもシニアが目立つ。
「昭和の香りの残るレトロさは風俗業界で高齢者に支持されています。数は減っていますが、グランドキャバレーも年金世代には人気です」(生駒氏)
20代のホステスは「年金支給日は特に多いですよ」と話し、「バブルやその前を知っている世代は、とにかく女性の扱いが荒くて正直嫌です。すぐに触ってくるので毎回対応するのが億劫です」と嘆く。
40代のベテランホステスは「口説き文句のように『どこか旅行に行こう。どこでも連れていってあげるよ』っていろんなおじいちゃんに言われます」と笑う。ただ、「ゆうても勃てへんので、体は触ってきてもそれ以上のことは求めてきません。ある意味安心できます」と高齢者に信頼感をにじませる。
風俗でのひとときでも、2人だけの時を過ごす濃密な時間だ。年金世代にとっては、間違いなく「憩い」の場所であり時間なのだ。性欲は本能。「老いれば枯れる」のではない。健康ならば異性を求める気持ちは続き、それは生き甲斐につながる。
(撮影=加藤 慶)