「高齢のお客様が増えているのは確かです」

年金支給日を楽しみにし、青春ならぬ“老春”を謳歌している人がいる。電機メーカーの部長だった67歳の岡沢博(仮名)氏は、高校の同窓会で再会した、テニス部で2学年下の女性と一緒にホテルに行く関係に発展している。若いころ、時間を共有した者との再会は共通の話題も多いだけに、その後の展開も早い。彼女との楽しみの逢瀬は、同居する娘家族の目を気にして、ラブホテルを利用している。

退職して時間に余裕のある熟年カップルの岡沢氏たちは、もっぱら平日の昼間にラブホテルを利用しているが、自分と同年代の熟年カップルをよく目にして驚いたという。

実際、熟年のラブホテルの利用は増えているのか。

「年金支給日に限らず、高齢のお客様が増えているのは確かです。子どもが減り、シニアが増える中、売り上げに占める高齢者の割合は高くなると思います」

そう話すのは、全国に47のラブホテルを経営するレステイの宮原眞氏だ。

年配者に配慮し、ベッドは低くしてある

長野県や山梨県でラブホテルを経営するバルシア インベストメント&コンサルティング代表の細田悠太氏も「朝から昼の時間帯の30~40%は高齢の利用者です。農家の方は朝の農作業が終わった早い時間に来られます。お年寄りは年金に加え、農作物でお小遣いが入ります」と話す。

一方でホテル側も「どこで逢瀬を楽しむか」というシニアの悩みに応える努力をしている。

「テーブルの角に丸みをつけたり、転倒防止のためにバリアフリー化するなど安全面を考慮しています。エアコン、テレビのリモコンは液晶表示の大きなものや拡大ルーペも備えています。高齢者に人気なのは、漆喰の壁や和風テーストを醸し出す部屋。年配者に配慮し、ベッドは低くしてあります」(宮原氏)と設備面で様々な工夫をこらす。料金もカップルのどちらかが60歳以上であればシニア割引が受けられる。