「60歳未満のお客様、お断り」の店も

おしゃれに気を使って遊びにくる彼らにとっては、風俗で女性に接するのは非日常の「ハレ」の日。定年で会社に行かなくなれば人に会わなくなる。ましてや30代、40代の女性と接する機会などほとんどない。風俗に行くことで若い女性と触れあい、コミュニケーションも取れるし、疑似恋愛もできる。シニアにとっては楽しいアンチエージングの手段の1つでもある。

年金世代にとって、風俗店の待合室で若い客と一緒になることに抵抗を感じる人も多い。「いい年をして、スケベジジイめ」と白い目で見られたり、繁華街で風俗店に入る姿をさらしたくない人だっている。

こうしたことに配慮して「60歳未満のお客様、お断り」を掲げるのは、無店舗型風俗店の「こころあわせ」だ。店は「デリバリーヘルス」で、客の求めに応じて、ホテルや自宅へ女性コンパニオンを派遣している。

オープンしたのは7年前。同店の店長は開業した理由を「この世代が心置きなく遊べる風俗が少なかったからです。性のアンチエージングは進んでいて、最近のシニアは何歳になっても元気。ただ、年齢が上になればなるほど風俗店に行くことをためらってしまう人も多いので、ハードルを低くしたかった」。

70代のAV・風俗嬢「風俗は男の確認作業」

店には一般的な「ヘルスコース」のほかに「ラブラブデートコース」もある。こちらは女の子と食事や酒、カラオケ、ショッピングなどを楽しむという性的なサービスを伴わないコース。デートコースとヘルスコースを組み合わせて楽しむお客も多いという。

「風俗遊びは、ウチが初めてというお客さんがたくさんいます。長い間女性の肌に触れていないことなどから、男として役に立つのか、自信をなくされている場合も多い。けれどご利用のあとは気持ちが若々しくなったと喜ばれる方が多い」(同店店長)

右:大阪・西成の商店街。「男の美学……60代70代は男で死にたい」と書かれている。左:70代に見えない風俗嬢のゆりさん。「勃たせるためには何でも使う」。

セックスカウンセラーで回春性感マッサージ「青山リラク」を東京・四谷で経営する青山愛さんは「年金支給日のあとしばらくはシニアの相談者が増えます」と話し、こう続ける。

「抱きしめられるとラブホルモンのオキシトシンが分泌されることを活用した“甘え抱きしめ療法”を施術しています。セクシーな服でシニアの方を抱きしめてあげると『おかあさん』と声をあげる人、『5年ぶりに勃起した』と喜ぶ人もいます。子どものころに母親から抱きしめられる機会が少なかった70歳以上の方に多いですね」

超熟女モノのAVに出演し、70歳の現役デリヘル嬢でもあるゆりさんは「年寄りは勃たなくてダメな人ほど男を確認したくて、ヘルスに来ます。踏んでも蹴っ飛ばしてもいいからイカせてくれって、頼む人もいます。男って勃たなくても性的サービスを受けたいものなんですよ」と、これまで3000人の男性客を相手にした経験から話す。