昔も今も、浅草がとっても元気な理由、教えます

2020年の東京五輪開催を契機に、全国の飲食店で「喫煙行為」を撲滅しようという動きがまた始まっている。今回、中小の飲食店が活況を呈する東京・浅草から浅草の老舗そば店「十和田」4代目女将・冨永照子さんを官邸へお招きした。冨永さんは1968年に「浅草おかみさん会」を立ち上げ、半世紀にわたり浅草の町おこしを手掛け、女性の活躍の場を広げてきた。全国チェーンではない個性ある中小飲食店がタバコ問題をどう見ているか語っていただいた――。

【飯島】浅草では、チェーン店ではなく、歴史があり、個性輝く飲食店、喫茶店がひしめいています。その個性が、外国人観光客を呼び寄せ、また全国からお客さんがやってきています。どうして、浅草はこんなに元気なのですか。

写真=iStock.com/BestForLater91

【冨永】浅草は、もともとは何にもないところなのです。この前の東京オリンピック(64年開催)では、新幹線や高速道路ができたりして、人の流れが変わって、浅草に誰もこなくなってしまいました。そのちょっと前までは日本一の盛り場だったのに、浅草六区の表通りには、1時間に人が5人と犬1匹しかいないなんてこともありました。その何にもないところからスタートして、「浅草は(お客さんが喜ぶことなら)なんでもあり!」という精神で、ここまでやってきました。2階建てバスだって、サンバカーニバルだって、普通の考えではできなかったと思います。

【飯島】私も、浅草はタバコを吸えるところが多くて好きなんですよ。

【冨永】確かに、歓楽街ですし、チェーン店も少ないですから、タバコを吸えるところは多いですね。でも、お客様の中には、タバコを吸いたくない人もいるわけです。大事なことは、お客様がお店に入るときに、タバコを吸える店なのかどうかを間違わないようにすること。浅草では独自に「分煙」「禁煙」「喫煙」のステッカーをつくって貼り出しました。タバコを吸う人からも吸わない人からも好評です。