「タバコ禁止で飲食店の売り上げは?」「減ります」

【飯島】ああいう都政の全体を見て、政党の利害を超えて調整できる人がいないと物事は進まないんですよね。有権者へのわかりやすいPRも必要なんでしょうけど、それで都政が滞ってしまってはダメです。

タバコの規制論者は、現実、現場が見えてないんですよ。例えばですよ、あの松沢成文前神奈川県知事がつくった悪名高い禁煙条例。

【冨永】あれはひどい条例でしたね。喫煙を目の敵にするあまり、現場の飲食店がバカを見ました。

【飯島】本当にそうなんです。徹底的に厳しく喫煙を禁止した条例をつくったものの、誰も取り締まっていない。真面目にルールを守ろうとすると、絶対に営業の継続が困難になるので廃業してしまった人がたくさんいる。その一方で、そもそもルールを守ろうとしてない人たちは、誰に取り締まりや注意を受けることもなく営業を続けている。こんなバカなことってありますか。

先日、飲食店の事業者らが、「都民や事業者の現場の意見を聞いてください」「都民や事業者が自分で『禁煙・分煙・喫煙』を選べるようにしてください」という署名を実施し、17万7697筆集まりました。小池知事が聞く耳を持つか不明ですが、現場を踏まえないルールをつくれば、結局、正直者がバカを見ることになる。タバコが禁止になると、飲食店の売り上げは減ると思いますか?

【冨永】減ります。確実に。今度の東京オリンピックのせいで、また浅草で閑古鳥が鳴くようなことになったらおしまいです。

浅草おかみさん会 冨永照子●1937年生まれ。浅草仲見世老舗手打ちそば「十和田」4代目女将にして協同組合「浅草おかみさん会」理事長。浅草のまちづくりに関する活動や提言を続け、浅草サンバカーニバル等の仕掛け人でもある。著書に『おかみさんの経済学』。