今年も、この連載「飯島勲のスモーカーズ・コーナー」の季節となった。この連載を楽しみにしてもらっている人もいるということらしいのだが、本当かね(笑)。

※本連載は、プレジデント誌連載「リーダーの掟」に巻頭エッセイを加筆したものです。

東京都のタバコ条例、私はこう考える

今年の小池百合子都知事には一度だけ失望した。それはタバコ禁止条例だ。失敗に終わった入札制度改革を事実上撤回し、足踏みしていた市場の豊洲移転を決め、国との関係を修復しようとした矢先だっただけに、また人気取りをはじめたのかと深くため息をついたものだった。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kolae)

小池都知事が、浮動票さえ取れれば自身の都知事再選が安泰だと感じているのであればそれは大きな間違いである。

その理由は今後の政治日程にある。

先日の自民党総裁選で3選された安倍晋三首相の総裁任期は2021年9月まで。また、現在の衆院議員の任期はそれから約2カ月後の21年の10月下旬だ。選挙の準備期間などの永田町の慣習と照らし合わせると、この約2カ月しかない状態では、選挙はない。つまり、現在の衆議院は任期満了前に解散総選挙となる公算が大きいのだ。つまり安倍首相は任期中にもう一度衆院を解散することになる。一つのタイミングは来年の参議院選挙と同時にする。もう一つは、都知事選挙との同時選挙だ。小池都知事の任期満了日は、20年7月30日。オリンピック開催期間中である。開催都市の首長として開会式・閉会式に出席したい小池知事は、選挙の時期を前倒しして再選したい意向であるというが、衆院選挙も前倒しすることが可能だ。

国政選挙と同時に知事選挙が実施されると、何が起こるのか。それは、小池都知事への信任投票という色合いから、安倍政権への信任投票が実施されるという色合いが濃くなるという変化だ。当然、在京マスコミも国政選挙により多くの時間を割くことになり、強固な支持組織を持たない風任せの小池陣営は、メディアに多く取り上げられなければ、得票を伸ばせず、厳しい戦いを強いられるのだ。「安倍政権は支持し、都議会自民党は支持しない」という複雑な立場にある現在の小池都知事が、どうやって有権者にわかりやすいメッセージを伝えるのか。メディア戦略に長けた小池都知事といえども難しい戦いとなるだろう。

一時的な人気取りが、人気取りした本人にとってさえも意味をなさなくなる。それは原発問題にも言えることだ。脱原発、反原発を言ったところで、北海道の冬を電気無しですごすことは人命にも関わることだ。今回は、泊原発について述べたい。